血溜まりが意味するもの

葬儀社からの依頼を受けることもあるのですが、その葬儀社からの電話で急いで現場に来て欲しいと、準備をして会社の車で伺った先は、あか抜けた住宅街のマンションの一室でした。

平和に満ち溢れていそうな落ち着きのあるマンションで、ひっそりと悲惨な事件は起きており、8畳の洋室に敷かれているマットをはがして撤去して欲しいというので、当然のことながら通常の状態ではないマットなのです。

依頼者に愛産津を済ませて、部屋の中に入ると白いマットの中央付近に大きな血溜まりができており、血液は固まりきっておらず、数時間の出来事の間に私が呼ばれた事になります。

先程おきた事件なのにも関わらず、家族がやけに落ち着いているのが気になりましたが、詳しい事情などは聞かずに黙々と仕事をし、慎重に血がたれてしまわないようにマットを慎重に剥がして、床に付着している部分を洗浄して消毒液をまき、おおよそ60分程度の作業で完了しました。

次の現場に向かうために車を運転しながら、いったいどういう状況だったのか考えてみたのですが、見積をしている最中に奥さんが誰かと話しをしている会話を思い出してみることにした。

初老の両親

電話の相手は誰か分かりませんが、ひきこもりだった、息子と話をあまりしていない、息子の部屋に怒られそうで入ったことがない、などの言葉を思い出しました。

両親の外見から62歳くらいで、そこから推測をすると、亡くなられた息子さんというのは30代から40代であることが分かります。

引きこもりをしていたようなので、部屋のなかには莫大なビデオやゲームソフトなどで埋め尽くされており、きっとその部屋で一日中ビデオやゲームをしていたのだと思います。

ゲームソフトやDVDなどは綺麗に整頓されて折り、几帳面な性格が垣間見えるのですが、全体的にカビ臭く、埃っぽいので掃除は出来ていない感じでした。

両親とは見積に関すること以外は全く何も話していないのですが、長らく遺品整理の仕事をしていると、どうしても勝手に頭がストーリーを作り始めてしまいますので、ここから先に書くことは私の憶測なのですが、亡くなった男性は自殺をされたか病気で倒れたのだろうと思います。

しかし、病気であればマットに大量の血溜まりができるはずもありませんので、常識で考えると自殺が有力になってきます。

それから、両親が異常なまでに落ち着いていたことで、息子さんに対して恐怖を感じていたのではないかということが考えられ、老いた両親が中年の息子の面倒をいつまでも見ることが出来ないので、どうするべきかと不安に感じていたのが大きかったのではなかろうか。

あくまで推測ですが、息子さんが自殺したことで、老いた老親は解放されて、心にゆとりが生まれて気持ちが楽になったのではないかと思います。

当然ながら悲しみもあるでしょうが、その一方で安堵感に浸っていたところもあるのです。